シンポジウム『拡がっていく数学−社会からの期待』の開催趣旨

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 数学は科学における普遍的な言語であり、高度機能化した現代社会を照らし出す灯りである。実際、生命科学、経済学、物理学などの先端研究において数学は研究を進める羅針盤ともなり、情報セキュリティー、医療技術、高性能機器の開発・制御、運輸・流通業におけるスケジューリング、金融・保険、資源探索、災害予測、エンターテイメントなど、社会を牽引する高度テクノロジーのほぼすべてにおいて、数学はその本質的部分に存在する。また、極めて多くの要因と現象が複雑に絡み合った、環境エネルギー問題等の地球規模の社会的課題に対し、事象の根本原因を探索し解明していくためには、数学的発想を援用した数理科学的手法が不可欠である。
 さらに、現実社会の諸問題や諸科学分野には、新しい数学的問題が多く存在するとの認識も広がってきている。しかしながら、多くの研究者が、数学に関わりのある研究を行っていながらも、数学研究者との連携の機会が少ないことを指摘、あるいは、各々の研究チームにおける数学をバックグラウンドに持つ研究者の不足を感じている現状がある。
 このような状況下、わが国の数学・数理科学の研究のさらなる強化を図るとともに、数学者が社会の多様な数理的問題に積極的に挑戦するなど、他分野・産業界との連携・協力を促進し、数学・数理科学界と社会との間の溝を埋められるような仕組みや制度が重要である。
 本シンポジウムは、ポスト第3期科学技術基本計画の検討に資するべく、数学・数理科学と他分野・産業界との連携・協力推進に向けた具体策を検討するための文部科学省からの委託調査の一環である。この2日間に亘るシンポジウムにおいて、調査分析の報告とそれに基づく具体的方策案の提案に対して、数学・数理科学の連携推進に関わる様々な立場の方々からの御講演・パネルディスカッション・質疑応答を通して、更なる情報を収集するとともに、提案を実効ある施策に繋がる政策提言へと繋げることを目標とする。(文部科学省委託業務「数学・数理科学と他分野の連携・協力の推進に関する調査検討〜第4期科学技術基本計画の検討に向けて〜」代表者 若山正人(九州大学大学院 数理学研究院))

2010年2月22,23日開催(於:東京大学大学院数理科学研究科大講義室)
主催:九州大学、東京大学、社団法人日本数学会、新日本製鐵株式会社
後援:日本応用数理学会、統計関連学会連合
参加:自由参加、参加費無料

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